【JBpress】障害者雇用の実践は「不得意」と「得意」の直視から
2020年6月11日
(小林 麻理:ビジネスコンテンツライター、社会保険労務士)
2019年、民間企業における障害者雇用数は約56万に達し、16年連続で過去最高となった。さらに障害者雇用促進法が改正され、障害者の活躍の場の拡大に関する措置が盛り込まれた。一方で、障害者雇用に関する悩みや課題を抱える現場も少なくない。障害者雇用に関する現状と課題、その解決の視点から「多様な人材活躍」実現のヒントを探りたい。
■ 雇用される障害者数は増え続けている 厚生労働省の調査*1 によると、障害者雇用促進法における雇用義務のある企業に雇用されている障害者数は約56万人(前年比4.8%増)。そのうち、身体障害者は約35万(対前年比2.3%増)、知的障害者は約13万人(同6.0%増)、精神障害者は約8万人(同15.9%増)と、いずれも前年より増加しており、特に精神障害者の伸び率が大きかった*2 。 *1:令和元年 障害者雇用状況の集計結果(https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_08594.html) *2:障害者雇用促進法における雇用義務のある企業とは、従業員数が45.5人以上規模で、法定雇用率は2.2%である。また、障害は、身体障害、知的障害、精神障害に分類されており、精神障害には、発達障害も含む。 ■ 高い雇用意欲の一方で、悩みや懸念も 企業側の意識はどうだろうか。『人事のミカタ』編集部が行った2019年の「障がい者雇用調査」*3 によると、今後の障害者雇用の意欲について、社内の受け入れ態勢などの条件付きも含めれば、雇用意欲を示す企業が73%にのぼった。 それに対し、悩みの懸念点の調査結果では、「周囲の社員の『障がい者への理解』」と「設備・施設・機器等『安全面の配慮』」が1位(79%)で、「雇用した障がい者の『生活面・健康面のケア』」(3位、68%)、「障がい者に『適した業務』がない」が(4位、62%)、「雇用した障がい者の『障がい特性把握』」「雇用した障がい者の『職場定着』」(5位、60%)と続く。
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